現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的蔓延は「感染症パニック」という言葉に代表されるように、生命と社会・経済に大きな打撃を与え続けています。このパニックに科学的に向き合うためには、感染性・病原性を正しく理解し、予防法と治療法を迅速に開発することが強く求められています。

ヒトに有害な作用を及ばさずにウイルスなどの病原性微生物を不活化するための戦略の一つとして光触媒が挙げられます。光触媒は、光を吸収して触媒作用を示す物質の総称であり、代表的な光触媒の材料としては酸化チタン(TiO2)が知られています。光触媒は、酸化還元反応を促進することから、有機物や細菌を分解することが可能で、環境問題を中心とした身の回りの様々な局面で利用できます。具体的には、魚類・植物・野生動物のウイルス病を含めた種々の微生物に対する光触媒の効果検証や畜産現場の環境改善、魚類の養殖業における感染症対策や水質改善、植物工場の清浄化、ペットの飼育環境、食品加工現場の環境改善などへの光触媒の応用研究を行ってまいります。

加えて、当ユニットでは、新興ウイルス感染症であるSARS-CoV-2や、ヒト免疫不全症候群(エイズ)の原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-1)、成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである成人T細胞白血病ウイルス(HTLV) およびそれに近縁の牛白血病ウイルス(BLV)の複製機構とそれらの発症機構の解明と新しい制御方法の確立を目指している。

研究テーマ


  1. 光触媒技術および光技術を用いた病原性微生物の不活化
  2. 人および牛レトロウイルスによる白血病発症機構の解明とその制御方法の確立
  3. インフルエンザウイルスの複製機構の解明と創薬研究
  4. HIV-1によるエイズ発症機構の解明および創薬研究

研究分野


ウイルス学、光触媒、免疫学、獣医学、畜産学、細胞生物学、分子生物学、分子イメージング、材料科学、創薬

キーワード


光触媒技術、新型コロナウイルス、レトロウイルス、エイズウイルス、牛白血病ウイルス、 インフルエンザウイルス、ワクチン、ナノ粒子、主要組織適合抗原(MHC)、核内移行、核外移行、細胞周期、アポトーシス、新規抗ウイルス薬、ヌクレオプロテイン、Vpr