ランチョンセミナー要旨

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提供・共催 スタンダード・バイオツールズ株式会社

マイクロ流路技術によるウマ遺伝学研究と遺伝子ドーピング検査

戸崎晃明(競走馬理化学研究所)

座長 竹嶋伸之輔(十文字学園女子大学)


マイクロ流路技術によるウマ遺伝学研究と遺伝子ドーピング検査

戸崎晃明 競走馬理化学研究所 遺伝子分析部

【要旨】
ウマは産業動物であるが、ウシやブタと異なり競馬や乗馬などのレジャーとして利用され、愛玩動物として認知されつつある。このため、ウマを対象とした遺伝学研究は、競技能力をはじめ福祉や健康等に関わる形質に焦点があてられる。競馬および馬術はスポーツの側面があることから公正な施行が求められ、ドーピングコントロールは重要な課題である。近年、ヒト医療分野において遺伝子治療技術が進展し、加えてゲノム編集技術が開発されたことで、遺伝子ドーピングも懸念されるようになった。遺伝子ドーピングは、1)外部から遺伝子を導入するトランスジーン技術、2)宿主のゲノムを改変して作製する遺伝子改変動物があり、これらを規制する必要がでてきた。抑止策の一つは検査を実施することであるが、効果的な抑止を得るためには網羅的に多数の標的遺伝子を対象とする必要がある。蛍光プライマーを使用するマルチプレックスPCRによって複数を同時検出することはできるが、その数には限界がある。マイクロフリューディクス(流路)技術を使用するPCRデバイスは、96検体×96標的などの多数の標的を同時検出することができる。本講演では、マイクロ流路技術による遺伝子ドーピング検査法の開発、SNPのマルチプレックス型判定等への応用を紹介しつつ、競馬産業における遺伝学研究と遺伝子ドーピング関連研究について紹介する。ウマ分野における遺伝学研究に興味を持っていただきたい。

【略歴】
公益財団法人 競走馬理化学研究所 遺伝子分析課長
昭和大学博士(薬学)、京都大学博士(農学)
研修認定薬剤師、スポーツファーマシスト
東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部 客員獣医学系教授
国際動物遺伝学会(ISAG) 馬遺伝学とサラブレッド親子判定委員会 委員
国際競馬統括機関連盟(IFHA) 遺伝子ドーピング規制委員会 委員
国際馬スポーツ連盟(IHSC) 遺伝子ドーピング専門家委員会 委員
公認競馬化学者協会(AORC) 遺伝子ドーピング特別委員会 委員

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